「自分の中に毒を持て」

「自分の中に毒を持て」

芸術家、岡本太郎さんの著書です。

岡本太郎さんといえば、

芸術は爆発だ

と言う言葉が有名です。

そして、太陽の塔は今なお残る偉大な作品です。

「1970年に大阪府吹田市で開催された日本万国博覧会のテーマ館の一部として建造され、万博終了後も引き続き万博記念公園に残された。2020年に国の登録有形文化財に登録された。」

ちなみに、私は太陽の塔しか知りませんでしたが、明日の神話と言う作品もあります。

この2つは同時期に作成され、対をなすとされているとのことです。

 

 

芸術は爆発だの言葉通り、なかなか情熱的な人物のようです。

「本書にも、命を危険にさらすと勇気が湧いてくる」

「迷ったら困難な方を選べ」

などの名言が様々綴られています。

 

 

願望の少ない現代人は人生に行き詰まりを感じているかもしれません。

そこで、岡本太郎は常識人間を捨ててみろと熱い切り口で訴えかけてきます。

安全な道ではなくダメな道を選べと言いますが、マイナスな意味ではなくみんながいる道ではない。ありのままの自分を認めて自分の人生を進むということを覚悟しろという意味で非常に考えさせられる言葉でした。確かに、今安全な道を選ぶ人々はあまり差が無くて、後輩などは

おとなしい。

という点で共通しているのみで中身がわからないときがあります。

 

自分を大事にしようとするから、逆に生きがいを失ってしまうのだ。

この言葉は現代人のは痛いところを突いている。と思いました。責任を負いたくないから出世を拒む若者や、傷つきたくないから恋愛をしない若者は自分を大事にし過ぎている。

シャープを作り上げた方の人生を綴った「ロケット・ササキ:ジョブズが憧れた伝説のエンジニア・佐々木正」などで見た昔の技術者たちは仕事ずくめでしたが、非常に輝いていて羨ましいと感じたことを思い出しました。

自分に対してプライドを持つ。相対的ではなく、自分への絶対的な感覚を持つ。

これは現代人に非常に大切な言葉のように思います。

岡本太郎さんはフランスへの留学後、軍隊生活がありその話も少し本書で語られていますが、やはり戦争を経験された方の言葉は重いです。

 

世の中うまくやろうとするからうまくいかない。

制約の多いところでこそ自分のしたいことをするのが本当の行動になると思う。

読めば読むほど、今の現代人には無い発想のように思いました。

同じような人間ばかりになって、自分もその他大勢の名もなき一人。になってしまうのは嫌だと思いました。

ラクに生きること。は自分に優しいかもしれない。

ですが、ラクばかりをしていてその人生は何が残るのだろうか。これを考えてしまいました。

自分の人生を生きるために何を選ぶか、どのような道を進むのか。

もっと考えなければいけないと改めて思わせてくれる本でした。

「イーグルに訊け」現代日本人の心の危機を避けるヒント

 

 

昨年2019年、日本人の自殺者は2万人弱です。

 

このデータを見て、どうように思いますか?

ちなみに、1998年から14年間は連続3万人を超えていました。

 

この3万人を超えていたデータを知ると、

だいぶ減っているな。

と思いますよね。

ですが、1998年以降日本の自殺者数はG7(先進7カ国)ではトップを走り続けている。という不名誉な事態です。

ストレス社会。という名前からしても、現代人が生きづらくなっていることを多くの人が実感しているのではないでしょうか。

自殺者数2万人を下回る: 自殺率はG7で最悪 | nippon.com

 

 

このストレス社会。

どうにかしてストレスを解消したい。

 

その手助けになりそうなのが、今回の本。

「イーグルに訊け」

本書では、日本人のとあるカウンセラーがインディアンの文化を通し、現代日本人に語りかけています。

 

なぜインディアンなのか。

 

これは近代化以前の日本人の精神と通じるところが多いからです。

「考えるのではなく、感じることが大切」

「自分の身の回りにあるものや自分の身に起きることを受け入れていこう」

「わしらはすべてつながっている」

これらは、昔は当たり前に日本人にあったものです。

ですが、明治維新以来近代化により日本人の伝統的な行事や世界観は急激に失われて行きました。

伝統文化を否定するところから産業大国への道が出来てきたわけですから、近代化の全てが悪いことではありません。

しかし、そんな経済の発展とは裏腹に、一人一人の精神は崩壊過程にある。と筆者は言います。カウンセラーである筆者の言葉には重みを感じました。

 

 

自然と暮らすことを当たり前と思っているインディアンは、自分以外の相手を受け入れる範囲が広いです。

それは、同じ人間であったり、動物や神様だったり。

その点について、所有という概念が無い。という点が影響しているように思います。

例えば海辺のヤシの木は誰のものでも無い。

だから、誰が食べても良い。

という状態なのです。

 

資本主義では考えられないことですよね。

ですが、この現代日本とは全く違う見方は非常に面白いなと思いました。

所有をしたり、決めたりする事が争いの種になっている事態は良くあることです。

インディアンは、なんでも所有者を決めることの滑稽さを本能的にわかっているのでしょう。

 

 

 

インディアンだけではなく、多くの民族は儀式をもっています。

日本で言えば「祭り」も儀式に入るでしょう。

 

本書を読むと儀式は形式が大切なのではなく、人との繋がりを思い出す役割ももっていて、精神の安定に一役買っていた事がわかります。

 

 

本書の最後の章では、生きにくい世の中を生きるためのヒントとして、

 

歌、リズム、踊り

 

を伴ったイベントが重要ではないか。

そして、その具体策が書かれています。

すでにあるものとしては、盆踊りや阿波踊りなどがそれに該当しています。

これらはただ一人で歌、リズム、踊りをすれば良いのではありません。

 

この世に戻ってきた先祖の魂と一緒に踊るような、本来の盆踊りが重要です。

かと言って、昔のままの盆踊りでは受け入れられない若者もいるでしょう。

 

若者にも年配者にも受け入れられるような、現代にふさわしい形の盆踊りが必要となっています。

 

 

現在、新型コロナウイルスの影響もあり、自殺者が増加しているそうです。

減少傾向だった自殺者数が8月急増 「芸能人の死に動揺」「仕事できない自分責め」|総合|神戸新聞NEXT

筆者が推奨する祭りの開催は難しい状況ではありますが、インディアンや昔の日本人のように

私たちはつながっている。

という世界を知っていれば、何かが変わっていたかもしれない。

そう思わずにはいられません。