1億円の借金を背負ったらどうするか。
「借金の底なし沼で知ったお金の味」金森重樹
まず、表紙を見て
25歳フリーター、借金1億2千万、利息24%からの生還記
とあったので、なぜ25歳のフリーターがこのような大金の借金が出来たのだろうか。と単純に疑問に思いました。
普通の正社員で働いているだけでは、1億円の借金など作ることも難しいでしょう。
住宅ローンで数千万のローンを組んでいる人は多くいますが、あれは使い道が明確になっているから組めるのであって、ただ普通に借金するだけなら1億円の借金を出来る人は多くないはずです。
その疑問を解消すべく本書を読み進めると、恐ろしい出来事にページを次々とめくっていくこととなりました。
著者は田舎から東京に出てきた、いわゆる上京してきた普通の大学生でした。
服屋に行くとなぜか80数万円のローンを組まされ、それが上京した最初の思い出として語られました。
「東京には悪い人がたくさんいるから気をつけなさい。」
という母の言葉が的中してしまったのです。
この章の終わりとしては、母にクーリング・オフの手続きを聞いて終わっていたのですが、なぜかその次の章ではパチンコにハマる。という経験もしながら、普通の道から少し外れた道を自ら選ぶことになります。
著者が1億円もの借金を背負った理由。
それは、投資でした。これを投資というのか、投機なのか、果たして詐欺なのか。
と思いましたが、
最初は生糸の取引を投資しました。
取引の専門家に言われるがまま、投資をしてしまったのです。
あの時、著者の手元に母親から預かったマンションの頭金1000万円が無ければ、このようなことにはならなかったでしょうか。
それでも現在の著者は
借金が自分のメンターだった。
と言っています。
借金があったからこそ、死ぬ気で働いて、勉強して、借金を返して資産を作り上げた。
その思いが伝わってきました。
投資の失敗に次ぐ失敗を取り戻そうとして借金を重ねた結果、手仕舞いまでに5000万円を超える大損を作り出しました。
そして、取引の専門家は1400万円を超える手数料を手にした。
その分を見たとき、なぜこのような酷いことを専門家はできるのだろうか。と本当にわかりませんでした。
自分の成績のためにカモにする。
自分には理解できませんが、このような思考の人がある一定数存在して、いつどこからその人たちと出会ってしまうかわからない。
だからこそ、自分で考えて決断する。ということがいつ何時も必要なんだな。と思いました。
著者も、そのことを伝えたくてこの本を書いたような気がします。
借金返済の最初の手がかりは、簿記の中にあった。
会計の知識の習得はお金持ちにあるためには避けて通れない。と著者は語ります。
最終的には、「毒をもって毒を制す」
借金をすることでお金を作り、それを元手としてお金を作り出していました。
日本はお金の教育は学校で全く行いません。
東大に入るような著者でさえ、1億円の借金を背負わされてしまったのです。
お金の勉強、そして自分で考えて決断する。考えることを他人に任せない。
これだけは絶対に忘れてはいけないことだと、悲惨な体験から著者が教えてくれました。