人はなぜ働くのか。私はどのように働くのか。

14歳でおっちゃんと出会ってから、15年考えつづけてやっと見つけた「働く意味」 [ 川口 加奈 ]

 

大阪でNPO法人の理事長を務める方のお話でした。

アドセンターという民間のセーフティネットを管理されている方だということは知っていましたが、非常に苦労されて今のアドセンターまで辿り着いたことは知りませんでした。

特に、自分から主導権を握って活動を始めたわけではない。という点には驚きました。

勝手な思い込みですが、このような活動をされる方というのは自分で確固たる意思があってこそ活動を続けられるのかなと思っていました。

 

ホームレス支援をされている方の自叙伝ですが、正直自分がホームレスになるという想像はあまり出来ませんでした。

私の場合は会社が倒産したら現状では無職になりますが、貯金がある程度ありアルバイトだけでも生活していくことは出来る。

親兄弟にいざとなれば頼る道もある。

親の持ち家に戻ることも出来る。

この状況では自分が生活保護やホームレス、ネットカフェ難民になることが現実的にイメージは難しかったです。

 

ただ、印象に残ったのは負のトライアングル。

仕事・貯金・住まい

の3つを手に入れないとホームレス生活からの脱却は難しい。

と著書には書いてありましたが、ホームレスへ入り口はまずは仕事が無くなったことから始まるのだなと思いました。本に出てくるおっちゃんたちも会社が倒産したり、事情があって仕事を辞めたりしたことにより路上生活に繋がっていました。

仮にお金が充分あれば住まいも貯金もあり、住まいがあれば仕事も容易にとは言いませんがアルバイトやパートならば働き口はあると思います。

しかし、通常の人の収入源は仕事ですので、仕事がなくなった場合にお金の供給源が断たれてしまう。

自分の仕事をいかにして確保していくか。

最近では10~30代のホームレス(ネットカフェ難民)も増えているとのことですし、これは他人事では無いことだと思いました。

 

 

働くとは、はた、つまり周りを楽にする。ということだよ。と聞いたことがあります。

お金が無いからホームレスになったけれど、ハブチャリでの仕事を通して「おっちゃん」たちはお金以外のもの、働くことの意味を得たように感じました。

 

初給料を大量のカップ麺に変えて事務所に差し入れした「おっちゃん」

川口さんの誕生日にケーキや服をプレゼントした「おっちゃん」たち

 

そしてそれは、著者の川口さんが一番感じていたように思います。

一方的な支援を望まなかったことからこそ、きちんと「働く」ことを目指して

「支援を目的としたものではなく、便利だから使われるサービス」

としてハブチャリを立ち上げました。

周りを巻き込んで行くことを実現し、ビジネスとして形にしたところに凄さを感じました。

 

自分ははたを楽にしているのか。

自分だけ楽をするようなことをしていないか。

周りのことを考えて仕事をしているか。

今後会社に所属するにしてもしなくても、仕事をしていく上で「働く」ことを考えさせられる本でした。